塾と学校
学校教育にかかわっている中で、学習塾というものが敵のように思えてくることがあります。
学校の授業より塾の勉強を大切だと考えたり、学校の宿題より塾の宿題に追われたり、受験の相談も塾を信頼する家庭があります。
子供たちの様子を見ていると、休み時間も塾の宿題に一生懸命になっていたり、学校生活の一日を過ごした後に、塾で夜10時くらいまで過ごすというありえない日常があります。
また、実際にあったことですが、学校で作ったテストを塾で保管し、A先生が過去に作った問題ファイルのようなものを作成し、考査前になると担当の教師の過去問をひたすら取り組むという授業が実施されるところもあるそうです。
そういった過去の話を踏まえて、学校教員の立場からすると、大金を払うこと、夜遅くまで外出させる危険を考慮してまでも勉強することが大切なのかと頭を悩ませると同時に日本の教育への考え方の変化が起こらないことに憤りを覚えます。
また、一部の大手の塾は、クレーム対策として大量の受験用教材を販売しています。
入試の後に保護者の方から「ここの問題集に載っていなかった問題が入試で出題された」というクレームが入ることを避けるために、何でもかんでも詰め込んで漏れがないようにしなくてはならないからです。当然、ほとんどの生徒にとってこなせる量でもレベルでもないのはわかった上での話です。
「こなせなかったのは本人の責任で、こちらは悪くありません」。この一言のためだけの、大量の教材ということです。
教材を渡せば「受験勉強」をやらせていることになります。できないことをできるようにしてあげる必要はありません。というより、そんな余裕はありません。量が多すぎるので、細かいことに構っていられないんです。心が痛むことを考慮しなければ、楽なのかもしれません。
生徒のためではなく、クレーム対策のため。これが「受験勉強」だそうです。