今年度からの成績・評定について
新学習指導要領において、育成すべき資質・能力の3つの柱は、「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」となっています。これまでの成績における4観点「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」と比べると、「技能」と「知識・理解」が合わさった形になります。これはシンプルでわかりやすくなった気がしています。
ただ、学習評価の3観点は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」となっていて、「主体的に学習に取り組む態度」は、非常に曖昧です。
というのも、この主体的に学習に取り組む態度をどのように評価するかが疑問です。そして、その悩みは多くの教師も抱えているのではないかと思います。特にこの観点における評価のポイントとしては、「粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとしているか」と明示されています。
さて、この粘り強く取り組もうとする姿とはいったいどのようなものなのか、具体的な説明はされていません。各学校や自治体で試行錯誤をしていこうとしている状況です。
確かに、これまでの制度においては、課題等の答えを丸写ししたり、ノートを出せば、「関心・意欲・態度」の評価は高くなることができました。そのため、なかなか授業の理解ができない生徒に対して、「答えを写してくるのも勉強だ。」という教員がいたことも事実です。しかし、そういった答えの丸写しが生徒の学習のプラスに働かないことは明白です。表現を悪くすれば、「真面目にコツコツ頑張っている生徒」と「答えを丸写ししている生徒」の評価が「提出物を出した」という意味においては同じ評価になってしまうのはあまり納得はできません。
ただ、今回の「粘り強く取り組む姿勢」や「主体的に学習に取り組む態度」は多くの問題を抱えています。授業をする中で1時間の授業で内容を十分に理解できる生徒がいる一方で、家庭や塾でコツコツ学習に取り組むものの、なかなか点数に結びつかない生徒がいます。多くの生徒がいれば、「熱心に勉学に励まなくても80点をとれる生徒」と「熱心にコツコツ努力して60点を取る生徒」がいるものです。また、体育に関していえば、努力しても急激に足が速くなったり、身長や筋力の違いがあって、粘り強く取り組む前から、結果がおのずと見えているものもあります。もっと、具体的な例でいえば、サッカーのリフティングを授業の内容にした場合、サッカー経験者からすれば粘り強く取り組まなくても、主体的に取り組まなくても上手なプレーができると思います。そういったことは全く考慮されていません。
そうした違いを考慮せず、ただ、粘り強く取り組むことや、主体的に学習に取り組む姿勢を評価に入れようとすること自体が今の日本の教育の問題です。学校現場においても、言われたから従うという状態が出来上がっていますが、教育現場を十分に知らない人間が定めたルールに従っていてはより良い発展は見込めないものでしょう。
いろいろ考えましたが、私個人からすれば、学校現場における「成績」はあまり必要ないものだと思います。なくなっても、大きく困らないものだと思います。進学等で影響を持っているから必要なものだと感じてしまいますが、入試の点数等で判断することができれば、不必要なものになると思います。教育現場での断捨離を願いたいものです。